iDeCo×退職金の受け取り順番!10年ルール完全攻略

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「iDeCoの10年ルールは知ってるけど、自分の退職金と合わせてどっちを先に受け取れば得なの?」

これ、本当によくある疑問です。2026年1月に10年ルールが施行されてから「制度が変わった」という情報は広まりましたが、「じゃあ自分はどの順番で受け取ればいいの?」という実務的な答えがなかなか見つからない状況が続いています。

この記事でわかることは3つです。

  • 10年ルールで「受け取り順番」がなぜ重要になったか
  • 退職金額×iDeCo残高別の「4パターン比較シミュレーション」
  • 自分にとってベストな受け取り順番を選ぶ判断フロー

「退職金が多い人」「iDeCoが多い人」で最適解がまったく異なります。ぜひ自分のパターンを確認してください。

まず確認!退職所得控除の仕組みをさっと復習

iDeCoを一時金【一時金:分割受け取り(年金型)ではなく、まとめて一括で受け取る方法】で受け取ると、会社の退職金と同じ「退職所得」として税金がかかります。

退職所得には「退職所得控除【退職所得控除:長年の勤続・加入に対して認められる非課税枠。勤続(加入)年数が長いほど金額が大きくなる】」という特大の非課税枠があります。

勤続年数(iDeCo加入年数)退職所得控除額
20年以下40万円 × 年数(最低80万円)15年 → 600万円
20年超800万円 + 70万円 × (年数 − 20年)30年 → 1,500万円

退職所得の計算式はこうです。

退職所得 =(受取額 − 退職所得控除)× 1/2
課税対象はこの「退職所得」の金額

つまり控除額が大きいほど税金が減るわけです。そしてiDeCoの一時金も退職金も、この「退職所得控除」の枠を取り合う関係にあります。

問題の本質:2つの退職所得が控除枠を「取り合う」

たとえば勤続30年で退職する人の退職所得控除は1,500万円。iDeCo加入20年分の控除は800万円。別々に使えれば合計2,300万円の非課税枠になるはず、なのですが——

同じ年(または近い年)に両方を受け取ると、控除枠は合算して一度しか使えません。

「受け取りの間隔」を十分に空けると、それぞれで独立した控除を使えます。これが「10年ルール」の核心です。

受け取り間隔旧ルール(〜2025年12月)新ルール(2026年1月〜)
控除を「別々に」使える間隔5年以上10年以上
5〜9年の間隔で受け取ると別々に控除OK調整あり(控除が減る)
同年受け取りの場合合算して計算合算して計算(変わらず)

「5年空ければOKだった」というのが旧ルール。2026年1月からは10年空けないと別々の控除が使えないようになりました。

受け取り順番の4パターンを比較する

受け取り方は大きく4パターンに分けられます。それぞれどう違うか見てみましょう。

パターンA:同年に両方まとめて受け取る

勤続年数とiDeCo加入年数を「通算」した期間をもとに控除を計算し、退職金とiDeCo一時金の合計に適用します。シンプルですが、控除枠が1セットしか使えません。

パターンB:iDeCoを先に受け取り → 10年未満で退職金(要注意!)

iDeCoを60歳で受け取り、その後5〜9年以内に退職金を受け取るパターン。実はこれが最も損するケースになりやすいため要注意です。旧5年ルール時代には合法的な節税策でしたが、10年ルール施行後は調整が入ります。

パターンC:iDeCoを先に受け取り → 10年以上後に退職金

iDeCoを60歳で受け取り、退職金は70歳以降に受け取るパターン。10年以上空けることで退職金に対して退職所得控除をフルで適用できます。70歳まで働く(または定年延長・再雇用を利用する)人に有効な戦略です。

パターンD:退職金を先に受け取り → 10年以上後にiDeCoを受け取る

60歳で退職金を受け取り、iDeCoを75歳まで運用継続して70歳以降に受け取るパターン。iDeCoは75歳まで受け取りを繰り延べできるため、長期運用を続けながらiDeCo受取時に控除をフルで適用できます。

シミュレーションで比較!退職金額別の手取り差

では実際の数字で比べてみましょう。以下の2つのケースで4パターンを比較します。

※概算シミュレーションです。実際の税額は個人の状況・その他所得・控除等により異なります。税理士・FP等の専門家にご確認ください。

ケース①:退職金が多い会社員(退職金2,000万円 / iDeCo500万円)

前提条件:勤続30年、iDeCo加入20年(重複期間20年)

  • 退職所得控除(勤続30年):800万 + 70万×10 = 1,500万円
  • 退職所得控除(iDeCo加入20年):40万×20 = 800万円
パターン受け取り方適用控除(概算)退職所得(概算)税負担(概算)
A同年受取(60歳)1,500万円(通算30年)(2,500万−1,500万)×1/2 = 500万約95万円
B ⚠️iDeCo60歳→退職金65歳(5年後)iDeCo:800万/退職金:700万(調整後)iDeCoは非課税+退職金(2,000−700)×1/2=650万約140万円(最悪)
C ✅iDeCo60歳→退職金70歳(10年後)iDeCo:800万/退職金:1,500万(フル)iDeCoは非課税+退職金(2,000−1,500)×1/2=250万約35万円(最良)
D ✅退職金60歳→iDeCo70歳(10年後)退職金:1,500万/iDeCo:800万(フル)退職金(2,000−1,500)×1/2=250万+iDeCoは非課税約35万円(最良)

🔑 ケース①の最大の教訓:パターンBが最悪です。「iDeCoを先に受け取って節税できた!」と喜んでいたら、退職金受取時の控除が大幅に削られ、合計の税負担がパターンAより高くなってしまいます。旧5年ルール時代の感覚のまま行動するのが一番危険です。

ケース②:iDeCoが多い会社員(退職金500万円 / iDeCo800万円)

前提条件:勤続25年、iDeCo加入15年(重複期間15年)

  • 退職所得控除(勤続25年):800万 + 70万×5 = 1,150万円
  • 退職所得控除(iDeCo加入15年):40万×15 = 600万円
パターン受け取り方退職所得(概算)税負担(概算)評価
A同年受取(60歳)(1,300万−1,150万)×1/2 = 75万約数万円✅ 優秀
B ⚠️iDeCo60歳→退職金65歳iDeCo(800−600)×1/2=100万+退職金は控除超過で非課税約10万円△ 普通
CiDeCo60歳→退職金70歳iDeCo(800−600)×1/2=100万+退職金は非課税約10万円△ 普通
D ✅退職金60歳→iDeCo70歳退職金は非課税+iDeCo(800−600)×1/2=100万約10万円✅ 優秀(運用継続が鍵)

🔑 ケース②の最大のポイント:パターンAが案外強い。退職金が少なく控除で丸ごと吸収できる場合、同年受取でも税負担は小さくなります。無理に10年待つよりも、資産を一本化して NISA等で運用継続するほうが合理的なケースもあります。

自分のパターンを選ぶ判断フロー

以下の順番で確認してみてください。

  1. 退職金額を確認する(会社の退職金規程・人事部に確認)
  2. iDeCo残高と受け取り予定額を確認する(iDeCo口座の試算シミュレーション機能で確認)
  3. 勤続年数とiDeCo加入年数を確認する(重複期間の把握が重要)
  4. 70歳まで働く(再雇用・定年延長)可能性を考える
  5. 以下の目安で判断する
あなたの状況おすすめパターン
退職金が大きく(1,500万超)、70歳まで勤務できる見込みパターンC or D(10年以上空ける)
退職金が小さく(退職所得控除の範囲内)、iDeCoが主力パターンA or D(同年 or 退職金先受取)
60歳定年でそのまま退職、再雇用等なしパターンA(同年受取)を検討
旧5年ルールのままiDeCoを60〜64歳に受け取り予定だった人⚠️ 計画見直しが必要(パターンBの罠)

知っておくと安心の注意点5つ

  1. 「10年」の起算点に注意:間隔の計算は「前に受け取った年の翌年1月1日」から「次に受け取る年の12月31日」まで。1日でも10年未満だと調整が入るため、余裕を持って計画を立てましょう。
  2. iDeCoは75歳まで受け取り繰り延べ可能:2022年の法改正でiDeCoの受け取り開始年齢が最大75歳まで延長されました。パターンDを選ぶ場合、退職金を60歳で受け取りiDeCoを70〜75歳で受け取るという柔軟な設計ができます。
  3. iDeCoを「年金(分割)受け取り」にする選択肢も:一時金ではなく年金形式で受け取ると退職所得ではなく「雑所得【雑所得:公的年金等の収入として課税される所得区分】」になります。順番問題をそもそも回避できますが、公的年金との合算で税負担が増える可能性もあり、一長一短です。
  4. 企業型DC(確定拠出年金)がある場合も同じルールが適用:会社の企業型DCからの一時金も退職所得として扱われ、同じ10年ルールの対象となります。企業型DCとiDeCoを両方持っている人は特に注意が必要です。
  5. 個人の状況によって最適解が変わる:このシミュレーションはあくまで参考例です。実際には他の所得・扶養控除・社会保険の状況などによっても有利不利が変わります。大きな金額の意思決定は、税理士やFPへの相談を検討してください。

よくある質問(Q&A)

Q. 旧5年ルールのつもりでiDeCoを62歳で受け取ってしまった。65歳の退職金はどうなる?

A. 2026年1月以降に受け取った場合は新ルール(10年)が適用されます。62歳でiDeCoを受け取っていた場合、退職金を「10年後」=72歳以降に受け取れれば控除をフルで使えます。72歳より前に退職金を受け取ると、iDeCoで使った控除分が差し引かれます。65歳定年退職で退職金をもらう場合は3年しか空いていないため調整が入ります。計画の見直しを税理士等に相談することをおすすめします。

Q. パターンCやDで「10年待つ」ために、その間iDeCoはどうなるの?

A. iDeCoは「受け取り開始の繰り延べ」ができます(最大75歳まで)。受け取らない間も引き続き運用が続くため、資産が増える可能性があります。ただし運用リスクも継続するため、60歳以降は運用商品を元本確保型にシフトするなど、リスク管理を見直しましょう。

Q. 退職金を一時金ではなく「退職年金(分割)」にすれば10年ルールを回避できる?

A. 可能性はあります。退職金を年金形式で受け取ると「雑所得」扱いになり、退職所得控除の対象外です。そのためiDeCoの一時金受取と控除枠が干渉しません。ただし年金型退職金と公的年金が重なると税負担が増えるケースもあります。会社の制度と自分の公的年金受給額を確認したうえで判断してください。

Q. 企業型DCとiDeCo、両方ある場合はどう計算する?

A. 企業型DCの一時金も退職所得として扱われます。企業型DC・iDeCo・会社の退職金のすべてが10年ルールの対象です。複数の退職所得が発生する場合は計算が複雑になるため、早めに専門家(税理士・FP)へ相談することを強くおすすめします。

Q. 2025年12月31日以前に受け取りが完了していた場合は旧ルール(5年)が適用される?

A. はい。2025年12月31日以前に受け取った分は旧ルール(5年)が適用されます。2026年1月1日以降に受け取る分から新ルール(10年)の対象になります。経過措置の詳細は国税庁の公式情報をご確認ください。

まとめ:受け取り順番で「数百万円」変わることもある

  • 旧5年ルール → 新10年ルールへの変更で、「ちょっと空ければOK」という計画が通用しなくなった
  • 退職金が大きい場合はパターンB(10年未満でiDeCo先受取)が最も損しやすい「落とし穴」
  • 10年以上空けられるなら、パターンCまたはDでそれぞれの控除をフルに活用できる

今すぐやること:

  1. 会社の退職金規程で「いくら・いつ受け取れるか」を確認する
  2. iDeCo口座の残高と、受け取り時期の選択肢(60〜75歳)を確認する
  3. 勤続年数とiDeCo加入年数から、自分の最大控除額を計算してみる
  4. 大きな金額が絡む場合は税理士・FP等の専門家に相談する

「退職後にゆっくり考えよう」では遅い可能性があります。特に50代に入ったら、今のうちに自分のシミュレーションを作っておくと、老後の安心感がぐっと増します。

iDeCoとNISAを賢く組み合わせて、ゆるFIREに向けた着実な一歩を踏み出していきましょう!

※この記事は個人の情報共有であり投資助言・税務助言ではありません。シミュレーション数値はあくまで概算であり、実際の税額は個人の状況により異なります。投資・税務の判断はご自身の責任で行い、詳細は税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家、および金融庁国税庁厚生労働省の公式サイトをご確認ください。

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